ビオトープでの
ポップアップショップ
エポイは東京・白金台にあるセレクトショップ、ビオトープでポップアップショップを開催しました。私たちは、この美しいお店が居を構える緑に囲まれた土地と出会い、たちまち虜になってしまいました。ポップアップショップの開催を機に、私たちはエポイの最新のバッグと共に、白金台周辺にあるグリーンスポットに散歩に出掛けました。
エポイがナビゲートする
白金台のグリーンスポット
PHOTOGRAPHY BY JUNPEI KATO
TEXT BY NAOKI KOTAKA
ビオトープ
「多様な生物がありのまま共生できる場」との意を持つ「ビオトープ(biotop)」の名を冠して、1990年にオープン以来、白金台の街でランドマークとして親しまれてきたアダムエロペの本店が、2010年に緑にあふれる空間へとリニューアルを遂げた。
中庭にある樹齢20年のクスノキの上には、ショップの象徴であるツリーハウスが建てられ、訪れる人の誰もが、木の上の生活を体験することができる。ショップ正面に設けられたボタニカルコーナーには、植物は勿論、ヴィンテージのガーデニングアイテム、プランター、ウェアなど、植物のある生活を家庭で楽しむための、魅力的なアイテムが豊富に揃う。植栽豊かな開放的なテラスを備えたレストランでは、そよぐ風と差し込む日差しをスパイスに、チャコールグリルを使った肉料理と野菜をふんだんにつかったサンドウィッチに舌鼓を打てる。
そんな、アパレル、コスメ、ボタニカル、カフェのコンテンツが、緑にあふれる空間とオーガニックに溶け込んだ、都会のオアシス的ショップに、"冒険"に出かけてみては?
池田山公園
江戸時代、岡山藩主の池田家が別荘を構えた土地『池田山』。近くを流れる目黒川から見上げると、小高い山に見えたというこの高台。かつての大名庭園の名残をとどめながら、現在では、斜面地の地形を活かした個性的な日本庭園として整備されている。
公園内の台地上からは、すりばち状の台地下に水を張るひょうたん池を中心に、四方の斜面を一望することができ、春はサクラ、初夏はツツジとアジサイ、秋はハゼ、イイギリ、クマシデ、カツラなどの紅葉と、訪れる度に異なった表情を楽しませてくれる。
いまでこそ住宅街となっている公園周辺だが、江戸時代には相模街道(現・目黒通り)沿いに町屋と大名の別荘が並ぶ以外は田畑が広がる田園地帯だった。池田家は約3万8千平方メートルもの広大な敷地を保有し、池田山一帯の高台からは、目の下を流れる目黒川や対岸の目黒台地、そして現代よりはるかに近く、広がっていた品川の海、さらには富士山を望むことが出来たという。生い茂る植物を眺め、湧き出る水の流れに耳を傾けていると、現代の喧噪を忘れて、江戸の素晴らしい眺望が脳裏に浮かびあがってくるようである。
畠山記念館
1964年に実業家であり、茶人としても知られる畠山一清によって設立された『畠山記念館(はたけやまきねんかん)』。国宝6点、重要文化財32点を含む約1300点の美術品を収蔵する、茶の湯の美術館として親しまれている。
白金台の閑静な住宅街を進むと、城郭を思わせる石垣と白壁の外塀が現れる。畠山家の家紋で飾られた正門を通り抜けると、樹齢300年を越える赤松がそびえ立つ、美しい露地庭園がまず眼前に広がる。青々と茂る新緑に目をやり、木々の間を吹き抜ける風を肌に感じて歩を進めると、庭園内に点在する茶室が視界に入ってくる。さながら茶会に招かれたような気分で、起伏に富んだ敷地をさらに奥に進むと、美術館本館が見えてくる。モダニズム的建築様式に日本家屋の要素を取り入れたユニークな意匠は、一清が自ら設計を手がけた。館内では、一清が半生をかけて収集した茶道具、書画、陶磁、能装束などのコレクションから、四季に合わせて年に4回作品を取り合わせて展示が行われる。
記念館開館以前、一清は茶事の場において所蔵の美術品を披露したが、館内の展示からは、一清が開いたであろう親密な茶会の雰囲気を感じ取ることが出来る。戦国武将が有していたという茶器を眺めながら、淹れたてのお茶を頂いていると、ふと現代と過去をむすぶ時間軸がゆるやかに交差し、奥深い茶の湯の歴史が音を出して動き出す、そんな特別な時の流れを感じることができる。
国立科学博物館付属自然植物園
自然とは都市の発展とともに失われていくの常だが、ここ白金台には自然がかつての姿に蘇った、そんな希有な場所が存在する。6万坪に及ぶ広大な敷地に8,000本を越える樹木が生い茂り、2,000種以上の昆虫、さらには100種以上の鳥類が生息する『国立科学博物館付属自然教育園(こくりつかがくはくぶつかんふぞくしぜんきょういくえん)』は、文字通り都会のオアシスと呼ぶにふさわしい場所だ。
同園の敷地は、江戸時代には高松藩主の松平頼重の別荘、明治時代には陸海軍の火薬庫、大正時代には宮内庁の白金御料地として利用され、長期に渡り一般の人々の立ち入りが禁止されてきたゆえ、豊かな自然が残った。1949年に国立自然教育園として一般に公開されてからも、自然の摂理と推移に任せた状態を維持するという方針の下、管理運営が行われており、その結果、森の"昔返り"なる現象が起こっている。開園から50年余りを経て、屋敷の庭として人為的に植えられたマツやスギの林は消え、落葉樹林へ、そしてさらに常緑樹林へと代わりつつあり、あと100年も経れば、この地域本来の姿である常緑樹林に変化するのだという。
こうして、今も、ゆっくりと、その姿を変え続ける、この都心の森を歩きながら、都市環境と共生しながら逞しく成長する、そんな自然のエネルギーに触れてみてはいかがだろうか?
東京都庭園美術館
東京都庭園美術館は、朝香宮鳩彦王と明治天皇皇女である允子妃夫妻の邸宅として、1933年に白金台の地に完成した。1925年にパリで開催されたアール・デコ博覧会を訪れて、その魅力にすっかり傾倒した朝香宮夫妻は、自邸を建てるにあたり、大広間など主要空間をフランス人デザイナーのアンリ・ラパンに依頼。ラパンの来日は叶わなかったが、宮内省内匠寮の建築家らがラパンからの指示書や図面を頼りに、アール・デコの精華を極めた空間を具現化させていったという。
何より、允子妃自身がラパンとの意見調整役を務め、絵画の素養を生かして温水暖房の金属製カバーをデザインしたり、子供たちの部屋も、それぞれの個性を考えて内装を決めたなどの逸話を聞くと、かつてこの館につどった人々の気配が蘇ってくるようだ。
文化が花開いた華やかな時代に生まれた、建造物、美術作品、庭園が織りなす美のアンサンブル。この邸宅を舞台に営まれた、宮家の華麗なる生活に思いを馳せると、都会のガーデンライフという、現代の白金台を象徴するライフスタイルの起源が見えてくるようだ。
八方園
徳川家康の側臣の一人、大久保彦左衛門が、かつて家康から見舞いとして授かり、白金台の地に根をおろしたと伝わる、現在では樹齢400年を越える老松。その一本の松に魅せられて、実業家の久原房之助は現在の八芳園がある1万2000坪もの敷地を購入した。
久原は、丘陵と小川が広がる白金台特有の地形を活かしながら、斜面にそって大小の名木を植え、多くの名石を配した。かつて川だった場所には池を配し、ほとりには水亭、竹林のそばには茶室を建てた。自然との調和を重んじた久原は、たとえ松の枝一本であっても庭師に自由に剪定させなかったという。久原にとっての庭園づくりとは、容姿を整えるためではなく、あくまで樹木が生き生きと成長できるように、愛情愛育を持って自然を整えることであったのだ。
こうした久原の丹精の甲斐あって、春はサクラ、夏には涼風にツツジやサツキ、秋は月と虫の音と紅葉、冬は雪景色や池の渡り鳥と、四季折々にその美しさを表す都内随一の日本庭園として、八方園は知られるようになった。
そんな江戸の自然を今に伝える風光明媚の土地から、時代を越えて受け継がれる日本人の侘びの心に、触れてみてはいかがだろうか?
イベント
Epoi POP-UP SHOP
AT BIOTOP
エポイ ポップアップ ショップ
アット ビオトープ
会期:2016年4月22日(金)– 5月8日(日)
※本イベントは終了致しました
BIOTOP(東京都港区白金台4-6-44)
BIOTOP OSAKA
(大阪市西区南堀江 1-16-1 メブロ16番館 1/2/4F4)
ウェブサイト:biotop.jp
ビオトープ2店舗にて、エポイのポップアップ ショップを開催。自らの感性に忠実に、最上級の物を自然体に着こなす、そんな洗練された女性が集まるビオトープは、最高品質の革素材、機能と美をあわせ持ったデザイン、そして熟練の職人技を結集させた、凛と美しいエポイのレザーバッグにぴったり。東京を拠点に活動するデザイン・設計事務所ダイケイ・ミルズがデザインした、優美かつラグジュアリーな鏡面仕上げの什器と共に、エポイの最新バッグコレクションを提供する舞台となりました。